四〇〇字程度

おもしろいこと言える大人になるためには何をすればよかったのかと考える無駄使い

ルピナスさんと胡麻のキッシュのはしりがき

金曜日はひな祭りのように過ぎた、とふと言葉が浮かんだのでそのまま記す。

18時に仕事を終えてよいと言われて、ふだんはこのような時間に帰れることはめずらしく、明日は仕事もないし、誰かに会って金曜日の残りを充実させたいと思った。給料日のあとはこういう気まぐれはままあることだ。

その職場に赴くとき、3回に1回ほど訪れているブックカフェで腰をおちつけ、少し前に誘いをくれたが私の都合がつかず会えなかった友人にメールをした。返信を待つ間、バーバラ クーニー『ルピナスさん―小さなおばあさんのお話』を手に取って眺め、黒胡麻のキッシュを食べた。

ルピナスさんはタイトルのとおり、もうおばあさんなのだが、おばあさんじゃなかったころがある(と本人が言っている)という女の子の語りから始まった。表紙に描かれた女性がおばあさんというには若く見えたので、たいへんなっとくした。ただ、ルピナスさんは世界をめぐった後に、ひとりで療養生活に入った時期があって、髪に白いものが目立ち、ちょっとやせたようだ。

海辺を歩きながら、花の種をまくルピナスさんのシーンがある。そこがいちばん好きだ。

 

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話