ルピナスさんと胡麻のキッシュのはしりがき
金曜日はひな祭りのように過ぎた、とふと言葉が浮かんだのでそのまま記す。
18時に仕事を終えてよいと言われて、ふだんはこのような時間に帰れることはめずらしく、明日は仕事もないし、誰かに会って金曜日の残りを充実させたいと思った。給料日のあとはこういう気まぐれはままあることだ。
その職場に赴くとき、3回に1回ほど訪れているブックカフェで腰をおちつけ、少し前に誘いをくれたが私の都合がつかず会えなかった友人にメールをした。返信を待つ間、バーバラ クーニー『ルピナスさん―小さなおばあさんのお話』を手に取って眺め、黒胡麻のキッシュを食べた。
ルピナスさんはタイトルのとおり、もうおばあさんなのだが、おばあさんじゃなかったころがある(と本人が言っている)という女の子の語りから始まった。表紙に描かれた女性がおばあさんというには若く見えたので、たいへんなっとくした。ただ、ルピナスさんは世界をめぐった後に、ひとりで療養生活に入った時期があって、髪に白いものが目立ち、ちょっとやせたようだ。
海辺を歩きながら、花の種をまくルピナスさんのシーンがある。そこがいちばん好きだ。