四〇〇字程度

おもしろいこと言える大人になるためには何をすればよかったのかと考える無駄使い

喫煙席の祖母と孫

改札を出て30秒、禁煙席と喫煙席が半々に用意されたチェーン店舗のカフェがある。朝は通勤の前から、夜は23時まで開いているからたいへん重宝している。メニューも安い。

日曜日の夕方はふだんとは異なる顔ぶれが集まる。

喫煙席にあきらかな幼年者、小学生、それ以下の子ども、場合によっては乳幼児がいるとひるんでしまう。印象に残る。今日も小学校中学年程度の男児が、祖母とおぼしき女性とカウンター席に並んで語らっていた。

言うまでもなく女性は煙草を吸っていた。それから男児はケーキをつついていたが、白いクリームの残骸からはそれがどんな種類のケーキなのか推測するしかない。

女性は「こんなところに連れてくるばあちゃんなんてあんまりいないだろう」と言って男児に同意を求めていた。それから夕食のシュウマイの話をした。男児は澄んで好い声で、賢しげにすらすらと応えていた。そうかと思うと、グラスの水を足しにいったり、隣接する書店を覗きにいったり、年相応の落ち着きのなさを見せていた。

私は、一晩だけ祖母のもとに預けられた孫なのかなと想像していた。